【ワンチャン】便利なことばの濫用に注意!【ヤバい】
福井市の国語に強い学習塾
夢盟塾福井校 塾長の原谷です。
今日は、私のおもしろーい体験談や具体例を交えながら、
一見便利なことばを濫用することの危険性について説くとしましょう。
お読みの皆さんも、自分やお子さんが危険なパターンに陥っていないか、考えてみてくださいね?
語彙力の低下を象徴するものとして、“若者ことば”がありますよね。
最近聞いたものですと…
・マジ卍(まんじ)
・あざまる水産
こんなのでしょうか。
若者ことばは流行の中で生まれるものであり、流行り廃りのサイクルもとんでもなく速いので、もしかしたらもう古いのかもしれません。(もし古かったら、最新のものをコメントにて教えていただけるとありがたみが深い。)
まぁ、これだけ見て「若者ことばは悪い!」などということを言うつもりは一切ありません。
むしろ、カルチャーの一つとして、個人的には評価しています。
よく思いつくなそんなの…と、敬意をとともにいつも驚いています。
閑話ですが。
ネットスラングは、あまり好きではありません。
というよりは、ネットスラングを直接的なやり取りの中で使われるのは、と言えばよろしいでしょうか。単純に、聞いてて寒いし痛い。
しかも、ネット掲示板以外でネットスラング使ってる場合って、少し古いものを、しかも誤った方法で用いたり、意味を知らずに使ったりしてることが多いんですよね~。
「~ンゴ」とか、その代表格。
「~ンゴ」使ってる女子高生に、「ドミンゴ・グスマン」知ってるのかどうか、インタビューしてみたい。
※ドミンゴ・グスマンとは
横浜・中日・楽天で(そこそこ)活躍した、助っ人投手。
投手なのになぜバッターとして写真が?と思ったでしょ。
そう、彼は18打席連続三振という、世界ワースト記録を打ち立てたのだ。
(奪三振ならどれだけ素晴らしかったことか…)
閑話休題。重要なのはここから。
“流行ることば"の一要素として、『とにかく便利である』ことが挙げられます。
一応意味はあるけれども、ぼんやりとしていてどんな場面で使ってもしっくり来てしまう、そんなことばです。
そして、そんなことばには、流行する過程で本来の意味を失っているものが多いです。
例を挙げると、
・ヤバい
・ガチ
・ワンチャン
などなど。
お子さんがこれらのことばを頻繁につかっていたり、お父さんお母さんがよくつかったりしている場合、大変危険です。語彙力が絶賛低下中です。そのうち、スカウターに表示されなくなります。
なぜ危険なのか。
これらのことばは、本来の意味が薄れもはや便利語と化しているため、濫用することでことばを覚える努力を怠る結果、適切な表現が出来なくなるから、です。
一つずつ例に挙げて解説しましょう。
※具体例では、私がこれまでに聞いていてイライラした場面を思い出しながら書いています。そのため、ちょっぴりヒートアップしていますが、ご容赦ください。
・ヤバい
〇本来の意味…危険である、悪いこと
※もともと俗語ですが、その歴史は意外と古く、江戸時代から使われていた形跡があるそうな。
例)ヤバい仕事に手をつけてしまった。
×現代での誤った意味…程度が甚だしいこと(良い方向にも悪い方向にも)
名詞・形容詞を修飾する形で使うことが多い。
例)仕事終わりのビールは、ヤバい美味さだ。
例)今日の映画、ヤバかったね! うん!ヤバかった!
昔から危険な現代語としてやり玉に挙げられる「ヤバい」ですが、私たち現代人が使うことをやめられない、もはや殿堂入りの危険ワードです。
このことばだけで、会話が成立すると言われるのですから、それはもう恐ろしいことです。家族間の会話が「ヤバい」だけで成立しているようでしたら、「ヤバいって言ったら負けゲーム」をやってみてください。きっと、5分と保ちません。
・ガチ
〇本来の意味…本気で
※ご存知の方も多いでしょうが、「ガチンコ」の略称。相撲界の真剣勝負を表す隠語だったそうな。
例)今日は手加減なしのガチで試合をする。
×現代での誤った意味…本当に
例)ガチでカッコいい服を購入した。
昔から使われている「マジ」がそのまま「ガチ」にすり替わってます。語感がにているからでしょうか。「ガチで稼げる!」みたいな売り文句、YouTubeの広告でよく見ますけど、真剣勝負で稼げるってことですか?それ、どこの地下闘技場ですか?見たいですねぇ!
・ワンチャン
〇本来の意味…残り少ない機会・可能性
※語源は勿論、One chanceです。麻雀をやる人がよく使います。可能性は低いが、ものにすればまだ逆転できる、逆にものにできなければ…。そんな、崖っぷちながらも逆転を狙う際に使う言葉。対義語は「ノーチャン」。
例)かなり不利な状況だが、相手の油断を誘えばワンチャン勝てる。
×現代の誤った意味…もしかすると、可能性がある(良い意味でも悪い意味でも)
例)今日のテストはヤバかった。ワンチャン追試かもしれない。
例)来月のコンサートに、ワンチャンいけるかもしれない。
「ワンチャン」も俗語ですが、それでもかつては「小さいながらも逆転の目がある状態」を表していました。現代人が使う「ワンチャン」からは、「逆転する」なんて意志は微塵も感じられません。少しでも可能性を感じれば、ワンチャンワンチャン。危険性に対しても、ワンチャン。ワンチャン追試って。それ、「ワンピンチ」だよ、もはや。
と、私がかつてイライラした体験談も交えてお話ししましたが。
「一見便利なことば」をこぞって使いたがる子(大人もね)は、大抵語彙力がみるみる低下していきます。
そりゃそうです。普段からことばの意味を正しく知り、区別し、使い分けようとしないのだから。
日常的にことばを大切にしようとしない人間に、語彙力が身に付くのでしょうか?
話すことばが拙いのに、語彙問題や読解だけはバリバリできる、なんて子には、私はまだ出会ってませんね。
きっと、お目にかかれることはないでしょう。
総括。
ことばは文化と共にあるので、新しいことばを生み出すことや、使おうとすること自体は良いことです。
しかし。
正しく知りましょう。正しく使いましょう。そして、できるだけ多くのことばで表せるようになりましょう。
お子さんが感動したときに口にすることばが「ヤバい」しかなかった…
なんて、あまりにも悲しいじゃあないですか。
「ヤバい」「マジ」ってよく使っちゃうお母さん!
明日から、いや今から、できる限り使わない様にしてみてください。別のことばで、言い表してみてください。
お子さんは、きっとこう思います。
「あれ?お母さんの話し方、何かグッと大人っぽくなった…!」
ってね。見習ってくれること、間違いなしですよ!
最後に。
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